全般
歴史
インド校は、1993年に設立の許可を政府から受けた後、1995年に施設が完成し、87名の生徒によって1997年に初めて学校として開かれました。その後、生徒の増加に伴って新しい宿舎の建設を重ね、今に至っています。
環境
学校が位置している西ガーツ山脈は、2012年にユネスコによって世界自然遺産に登録されました。日々過ごしている中で、リスや猿などの動物だけでなく、孔雀や珍しい蝶々・鳥も目にすることができます。こうした恵まれた自然環境を保護していくため、コミュニティとしてsustainability(持続可能性)に力を入れています。
アクセス
校舎は、丘の上に孤立して建っており、一番近い村であるパウドまでも30分。そして買い物などができる町、プネからは片道2時間もかかるという、まさに田舎に位置します。ちなみに、ムンバイの空港までは5時間。冷房設備のないバスに乗って、でこぼこな道を揺られる日々は、最初は新鮮で楽しかったものですが、時を重ねるごとに、日本のありがたさを痛感させられます。
天候や気候
インドの気候は、雨期と乾期に分けられ、前者は6月から10月ごろ、そして後者は11月から5月ごろです。1月が一番寒く、4月、5月が一番暑いです。暑い時期には40℃にも達し、日差しが日本に比べて格段に強います。寒い時でも暑いときでも、一年中日中は暑く、夜から朝にかけては冷えこみます。

勉学・特徴的な選択科目
This is India・Global Affairs
カレッジ内でも常にインドで暮らしている自覚を生徒の中に育て、国際情勢に関心を持つことを目的としています。生徒・先生によるプレゼンテーションで基礎知識を身に着けたあと、少人数グループに分かれてディスカッションをして理解を深めます。
Global Politics(国際政治)
ディスカッションやプレゼンテーションを中心とした授業形態を通して、今日の世界情勢を理論的に分析できるようになる科目です。人権、発展、グローバル化、平和と紛争などのテーマを扱います。フィールドワークを通して社会問題に自ら取り組む機会もあるため、実践的なスキルも身につきます。
Film (映像)
インドと言えば、映画ブーム。そう言ってもいいくらい、映画というのはインドにおいて人気があります。インド校にも、Filmの授業があり、生徒は、二年目の最後にIBに提出するための自身の作品をつくります。彼等の技術は非常に高く、それぞれの作品がとてもメッセージ性の強いものになります。
Theater(演劇)
演技に限らず、照明、道具、衣装、音響等の演出も含めた演劇の理論を実践しながら学ぶ授業となっています。芸術科目ですが、ただ演じる・演出するだけではなく、それに対する芸術的意図・効果に対する論理的な考察をし、それをレポートにまとめる課題が多いことが特徴的な科目です。
Hindi(ヒンディー語)
インドの連邦公用語であり、最も多くの人に話されているヒンディー語。インド校では、IBの科目として学習しなくても最低限の会話を課外活動で習うことができます。IB初級クラスでは、デーヴァナーガリー文字の読み書き、発音、文法を一から学習します。日常生活で多用する語彙や表現を身に着けることで、学校内で働くスタッフの方々や学校外で知り合ったインド人と会話を楽しめるので、学習の成果を実感できます。
寮生活
施設
インド校では、2つのルームからなる建物をハウス、そのハウスがいくつか集まっている寮をワダと呼んでいます。1つのワダには30人~50人ほどが住んでおり、インド校全体で5つワダがあります。5つのワダのちょうど真ん中あたりに位置するソーシャルセンターには、軽食を買える売店、プール、ジムがあり、生徒たちの憩いの場となっています。
それぞれのハウスに庭があり、ワダにはコモンルーム(談話室)があります。先生方もワダに住んでいて、質問をしにいったり、遊びに行ったり、夕飯を一緒に食べたりすることができます。先生方との距離はとても近く、ワダはまるで1つの大家族のようです。それぞれのワダに特徴があり、住む人によってその特徴は毎年変わります。
ルームは4人部屋で(例外的に5人部屋もあります)、異なる国の人が一緒になるように工夫されています。大抵の場合宗教も異なり、生活習慣の違いに驚かされることがよくあります。

食事
インドではベジタリアンの人口が45%を占めると言われています。インド校においてもそれは大いに考慮されており、食事が提供されるカフェでは、ベジタリアン料理とノンベジタリアン料理は完全に区別されています。ベジタリアンの中には卵も食べられないという人もおり、そのため、ベジタリアン料理の中には、卵も含まれていません。ベジタリアン料理のメニューの豊富さから、インド校に来てからベジタリアンになる生徒も少なくありません。このように日本と全く異なる食文化や、「カレー」と呼ばれている料理の幅の広さに最初は驚かされますが、知れば知るほどインドの食文化に興味がわきます。しかし、やはり生徒達は自国の料理が恋しくなることもしばしばで、宿舎で自ら料理を行っている者も多いです。
Service(社会奉仕活動)
インド校にはHigh School ScienceというServiceがあります。村の子供たちは理科の勉強はするのですが、道具がないため実験ができません。そこで生徒たちは子供たちが学校で習ったことを実際に体験できるように、毎週学校で一緒に実験をします。
他にもFire Service、Gomokh farm、 Gateway to Rawdeなど、様々な活動があります。インドでは乾期になると山火事が頻繁に起こります。その時に走って現場まで行き火を消すのがFire serviceの活動です。乾期なので水を使わずに、叩いて火を消す、重労働です。
Gomokh farmは近くの村で村の人々と協力して農業をする活動です。自分たちで畑を耕して、野菜の完全有機栽培を行います。また、近くの農家の方々が育てた野菜や果物を校内で販売するFarmers’ Marketも開催しています。このFarmers’ Marketでは、新鮮でおいしい野菜を安く買うことができるので生徒たちだけでなく先生方にも好評です。
学校外に出る活動はOff-campusと呼ばれ、生徒にとっては周りの村に住む人々とつながる大事な時間となっています。

3月9日、ちょうどTravel weekが始まった直後に大きな山火事がありました。これはその時にFire Serviceの生徒が火を消そうと奮闘している様子です。
行事
Orientation week
最初の1週間はインド校を知るためにと授業はなく、代わりにゲームやハイキングなどをします。寝袋なしで毛布とマットレスを持って登ります。山の上からの雨期の景色は格別です。また、各授業について説明を受けて授業内容を実際に体験することで、科目決めをしやすくしています。

Christmas buddy
11月から1学期の終わりまでの間は、それぞれのクリスマスバディのためにコッソリなにかいいことをする期間です。相手の部屋に自分が誰かバレないようにお菓子を置いたり、匿名で手紙を書いたりします。自分も誰かからいいことをしてもらえます。
疲れて自分の部屋に帰ってきて、メモと一緒に置かれたチョコレートケーキを発見した時の気持ちは、想像にも難くないと思います。それぞれのバディが誰だったのかはクリスマスディナー(1学期の最後の夜)で公表されます。
Regional evening
地域ごとに文化紹介をする行事です。ある年ではインド、南北アメリカ、中東&アフリカ、ヨーロッパ、アジアに分けられました。それぞれの地域の生徒が歌ったり踊ったりクイズ大会を催したりする、とても華やかなイベントです。
MUWCIlympics
ワダ対抗スポーツ祭です。サッカー、水泳、テニス、卓球、クリケットなど様々な種目があり、選手はワダの代表として立候補します。勝利したワダ、優秀選手はクリスマスディナーの時に表彰されます。種目の中にはワダ全体でのダンスもあり、メンバー全員の動きがどれだけ揃っているかを意識することで、ワダ内の団結が深まります。
50/15 Anniversary
2013年はUWC50周年とMUWCI15周年が重なったため、盛大なイベントが開かれました。オーディションで認められた生徒たちが、全校生徒と学校外からのゲストの前で歌やダンスを披露し、記念すべき時を祝いました。

Bald for a cause
毎年生徒によって自発的に企画され、生徒の中で募った希望者の髪の毛をそり、坊主にします。剃った髪の毛は、病気の治療の副作用などでヘアスタイルを楽しみたくても楽しめない患者さんのウィッグに使う目的で寄付されます。そのような社会貢献に賛同し、患者さんを応援するという象徴的な意味で坊主になる生徒も多数います。
Theater Season
IBで演劇の授業を選択している生徒を中心に、オーディションで選ばれたキャストが練習を重ね、様々な演目を披露します。ミュージカル、古典文学、創作劇、フィジカルシアターなど、ジャンルは多岐にわたり、普段見られないようなクラスメートの姿を見ることができるので、生徒たちは各公演を非常に楽しみにしています。