全般
地理的、文化的、歴史的な特徴
イギリス校アトランティック・カレッジは1962年に最初のUWC校として設立されました。
キャンパスはウェールズの主都カーディフから西に40kmの場所に位置し、牧場、海、森…と雄大な自然に囲まれています。
アクセス
東京の成田空港から直通便で13時間ほど飛行機に乗るとイギリスの窓口、ヒースロー国際空港へ到着します。そこから4時間イギリスの田園風景と牧場を眺めながらバスと電車を乗り継ぐと、ようやくアトランティック・カレッジに辿り着くことができます。
天候や気候
5月の晴天の日には少し汗ばむことはありますが、年間を通して涼しいか寒い日が大半です。
よく知られている様にウェールズでは雨が多く降りますが、その雨は日本の小雨程度です。自然に囲まれているせいか、天気が非常に変わりやすくレイン・ジャケットは学生や教職員の間で重宝されているアイテムの1つです。
勉強
特徴的な選択科目
World Religion (世界の宗教)
この授業では2年を通じて合計5つの宗教について学びます。ある年の例ではイスラム教、ユダヤ教、仏教、道教、ヒンドゥー教を対象とし、クラスは少人数の様々な宗教的バックグラウンドを持った生徒のグループから構成されます。異なる宗教的価値観を尊重しながら行われるディスカッションは、まさにここでしか得ることのできない貴重な学びを与えてくれます。
平和と紛争
この授業では、1年目に『なぜ争いがおきるのか?』ということを、心理学的理論を中心に学び、2年目に実際の紛争の事例について1年目に習った理論を応用します。国際紛争や民族対立の発生原因とその解決方法について体系的に学べる科目です。
寮生活
施設
ハウスと呼ばれる寮は7つあり、各ハウスで50名弱が一緒に暮らします。
1階に男子生徒、2階に女子生徒用の「ドーム(部屋)」があり、その他にデイ・ルームと呼ばれる談話室やクワイエット・ルームと呼ばれる自習室が各ハウスにあります。各ハウスには寮監督の先生(ハウス・ペアレント)とそのご家族も住んでいます。また、週に1度「オープンハウス」といって先生が自宅を寮の皆に開放します。このようにハウス・ペアレントとの距離はとても近いので、悩み事やちょっとした相談を気軽にすることができるようになっています。

ルームメイト
ドームメート(ルームメートのこと)やハウス(寮)は異なる大陸出身の者が一緒になるように、また、ネイティブスピーカーがなるべく各部屋に一人は居るようにと様々な工夫されています。例えば筆者の1年目のドームメートは香港、オランダ、スペイン人でした。
食事
食事は三食、城の食堂で提供されます。ベジタリアン用の食事も準備されており、宗教上の理由やCO2排出削減のためにベジタリアン食を選ぶ学生も多く、アレルギーのある生徒にはアレルギーを考慮した食事も準備されています。この様に多様なバックグラウンドを持つ生徒が共存する為に、食事から様々なことへの配慮が多くなされているのがUWCの特徴です。城の食堂以外でも、チューターの家でご飯をご馳走してもらったり、せっかくイギリスにいるのでと友達とパブへ食事をしに行ったりすることも日々の楽しみの一つとなっています。
Service(地域奉仕活動)
各UWC校ではそれぞれの現地の特色に合った様々なサービス(地域奉仕)活動が国際バカロレア教育の一環として行われています。
たとえばイギリス校では CAVRA という山岳救助系のサービスがあり、普段の活動は捜索活動の訓練、ハイキングの計画と必要な知識の習得を行っています。CAVRAの生徒は一年生の入学直後のキャンプで行われる片道30kmほどのハイキングで引率役という大役を担います。

その他にもライフ・ガード(海難救助活動)やソーシャル、AOC(Atlantic Outdoor Centre)、エステイトなどが挙げられます。ライフ・ガードでは1年目の訓練を通じて海難救助員としての資格を獲得し、2年目からは水泳教室や一年生の指導などにあたります。ソーシャルは高齢者訪問や地元の子ども達の学習支援など様々な活動のうち学期毎に1つ選んで参加し、AOCは1年間の訓練後、2年目からは地元の子ども達や障害をもった子ども達とプールやキャンパスで遊んだりするなど、子どもと触れ合う機会の多い活動となります。エステイトでは主に園芸や学校敷地内の植木の手入れなどを行い、秋には収穫したりんごや敷地内でつんだ果物でジュースやジャムを作る作業もあります。
行事
National evening / International show
National Eveningは文化紹介のための出し物で、日曜日の夕食後に催されます。劇やダンス、発表を通じて自分達の文化や国情をより深く知ってもらうイベントです。
International showは毎年3月に近隣の住民も招待して2日間に亘って開く一大イベントです。ここはオーディションを経た団体が音楽演奏やダンスの披露、詩の朗読などを通して文化や伝統を伝えます。日本人も有志の外国人とともにソーラン節を発表しました。
Diploma period
アトランティック・カレッジで近年始まった取り組みとしてディプロマ・ピリオドというものがあります。筆者が在学していたときは「教育」、「平和と紛争」、「環境問題」、「信仰間の理解」といったテーマで会議が開かれ、生徒が自主的にワークショップを企画したり、有識者を講演に招くなどの活動を行っていました。
この他にもアトランティック・カレッジでは、サマー・プロジェクト、模擬国連大会、寮対抗のスポーツ大会などが盛んで、多くの生徒がこうした行事に積極的に関わっています。
写真ギャラリー